神戸地方裁判所 昭和53年(わ)837号 判決 1978年10月23日
本店の所在地
兵庫県洲本市本町八丁目二番一七号
法人の名称
有限会社 中谷商店
代表者の住居
同県同市本町八丁目三番二一号
代表者の氏名
中谷昭光
本籍
同県同市本町八丁目五三番地
住居
同県同市本町八丁目三番二一号
会社役員
中谷昭光
昭和二年二月一九日生
右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官松尾司出席のうえ審理し、つぎのとおり判決する。
主文
被告有限会社中谷商店を罰金五〇〇万円に、被告人中谷昭光を懲役五月に各処する。
この裁判確定の日から二年間被告人中谷昭光に対し右刑の執行を猶予する。
理由
被告会社有限会社中谷商店は、兵庫県洲本市本町八丁目二番一七号に本店を置き、洋品雑貨小売業を営むもの、被告人中谷昭光は、同会社の代表取締役として業務全般を統轄しているものであるが、被告人中谷昭光は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て
第一、昭和四九年八月一日から同五〇年七月三一日までの事業年度における実際の所得金額は五、一〇九万五、一〇二円、これに対する法人税額は一、九一九万八、六〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上架空の仕入を計上するほか、現金売上の一部を除外し、よって得た資金を簿外の割引債券として留保するなどの不正の方法により所得を秘匿したうえ、同五〇年九月三〇日同市山手一丁目一番地一五号所在の洲本税務署において、同署長に対し、所得金額が九五二万七、四七九円、これに対する法人税額が二五七万一、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同事業年度の法人税一、六六二万七、二〇〇円を免れ
第二、昭和五〇年八月一日から同五一年七月三一日までの事業年度における実際の所得金額は三、六五四万八、一七六円、これに対する法人税額は一、三五三万六、三〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正手段を講じたうえ、同五一年九月三〇日同税務署において、同署長に対し、所得金額が九七五万六、〇四四円、これに対する法人税額が二八一万九、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同事業年度の法人税一、〇七一万六、八〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
以下において、質書とは大蔵事務官に対する質問てん末書、検調とは検察官に対する供述調書、査調とは大蔵事務官作成の査察官調査書、数字は昭和年月日を指す。
判示事実全部につき
一、査調五通
一、徳山克人作成の確認書及び現金預金有価証券等現在高確認書
一、箕浦和久、川崎一二及び平塚哲彦作成の各確認書
一、国税査察官作成の52・9・9付調査報告書
一、大西祐昭の質書二通
一、大石静子及び中谷睦子(52・5・19)の各質書
一、商業登記簿謄本
一、被告人中谷昭光の質書(一一通)及び検調(三通)
判示第一事実につき
一、大蔵事務官作成の法人税確定申告書謄本(自49・8・1至50・7・31)
一、島津秀夫、井本重光及び福永真朗の各質書
判示第二事実につき
一、大蔵事務官作成の法人税確定申告書謄本(自50・8・1至51・7・31)
一、大蔵事務官作成の52・7・1付調査報告書
一、山本修作成の確認書
一、中谷睦子の52・10・17付質書
(法令の適用)
一、被告会社有限会社中谷商店につき
法人税法一五九条一項、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項
二、被告人中谷昭光につき
法人税法一五九条一項(各懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第一の罪の刑に加重)、刑法二五条一項
(裁判官 小河厳)